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金田信一郎『テレビはなぜつまらなくなったのか』(日経BP社) [本]

著者は日経ビジネス記者。同書は『日経ビジネス』の連載「TV WARS」(2006年1月9日号~
3月27日号)を加筆・修正したもの。
著者は主観的に「テレビがつまらなくなった」と考え、テレビ番組の興亡をスター列伝で綴る。
しかし、それは「光」だけでなく、「影」そして、人によっては消え行く道をも描く。
ただ、この本は「本編」よりもインタビュー記事を読んでから入ったが、わかりやすい。
本編は大学教科書の概論っぽさはあるのがやや難点か。
テレビ~ここで筆者が念頭においているのはおそらく、地上波のことだろう~がつまらなくなったの
は、過去の成功した手法を焼き直して見せているに過ぎず、各局とも同じような内容の番組を供給
し続けることにあるとする。
その典型が「現在の長嶋茂雄」であり、格・レベルが落ちたタレントが出演する「ひょうきん族」のエ
ピゴーネンなバラエティ番組であると考える。
プロ野球の「人気下降」はプロ野球自体よりも「テレビがつまらなくなっている」典型的な例という筆
者の指摘は当然。「アンチ巨人だって、巨人ファンのうち」ですから。
かつて、邦画界は自社スターをテレビに出演させないように「五社協定」を結ぶも凋落は食い止めら
れず。そして、今、地上波テレビは、
http://www.presentcast.co.jp/
で、「囲い込み」を図り、「IT企業からの自己防衛」。似たような構図です。
今後はテレビの有料化、コンテンツサイドが供給するメディアを選択する時代が来るのでしょうか?
過去ログで、JリーグがCSに優先権をつけたことを書きましたが、ネット・DVD販売、あるいは未知
の方法で。

最後に大橋巨泉氏の言葉を紹介します。
「(日本も)勝ち組とか金持ちとかインテリがテレビを見なくなっただけなんですよ。負け組、貧乏人、
それから程度の低い人が見ているんです。」
もちろん、これは氏が前者であることを誇るものではないです。

(追記)
故鹿内春雄氏はエンタテインメントでニッポン放送を聴取率トップの局にし、フジテレビも父を否定す
るかのように、「楽しくなければ、テレビじゃない」と宣言し、80年代のテレビ界に新風を送りました。
フジサンケイグループで当時から経営等で問題があった新聞ですが、もし氏が存命であったならば
どうなっていたでしょうか?
ラジオ・テレビで成功した手法を新聞に持ち込み、「正論路線」は破棄されていたかも知れません。
ニッポン放送買収の際にある雑誌で堀江貴文氏がインタビューで答えていたように。


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